飲食店や卸業者、小売店、酒造メーカーなどでは、お酒の過剰在庫に悩まされることも多々あるものです。とくに店舗の閉店や移転に伴い発生した過剰在庫の場合、ロット数がかさむうえに、店舗や倉庫の明け渡し期限に合わせて迅速に処分する必要に迫られます。一方で、在庫処分にかかるコストや手間などの問題も多いため、どのように対処すべきか迷っている方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、お酒の在庫の買取事情について解説していきます。お酒が過剰在庫になってしまう原因や、買取対象となるお酒の種類、買取依頼時に注意すべきポイントを紹介していくので、ぜひご一読ください。
お酒の在庫が余ったらどうする?
お酒の在庫が過剰に発生している場合には、買取業者の利用がおすすめです。とりわけ処分を急いでいる場合には、買取は非常に有効な手段です。
食品から日用品までさまざまな分野の商品が取引される買取業界ですが、積極的にお酒の買取を行う業者が多数存在します。買取を利用する際の大きなメリットは、資産をスムーズに現金化できる点です。
不要になったお酒の在庫は、管理コストの観点からなるべく迅速に処分したいものです。そこでまず考えられるのが、割引販売の実施です。しかしこれには、販売の手間がかかるうえ、どの程度売れるかはフタを開けてみないとわからないという問題があります。お酒という商品の性質上、安くすれば必ずしも売れるというわけでもありません。
また、閉店や移転などでとにかく在庫処分を急いでいる場合には、廃棄も選択肢の一つとなるでしょう。しかし、酒類の場合、瓶などが多くその分重量が増え、廃棄の場合には産廃業者に支払うコストが高くなります。近年のSDGsの風潮にもそぐわないため、できる限り食品廃棄は避けたいものです。
一方で買取の場合には、業者がもつ独自の販売ルートを利用して引取先を探せるため、迅速に利益につなげられます。廃棄費用に無駄なコストをさく心配もありません。資産をスムーズにキャッシュ化したいのであれば、廃棄によるデメリットを解決可能な買取の利用を検討してみましょう。
お酒が過剰在庫になる原因は?
そもそもお酒が過剰在庫になるおもな原因としては、次のものが挙げられます。
<お酒が過剰在庫になる原因>
・提供しなくなったお酒がある
・仕入れミス、大量生産後の販売不振
・閉店や移転
・商品の入れ替え
・輸入による大量ロットの確保
それぞれ解説していきます。
提供しなくなったお酒がある
まず、急遽提供を取りやめたお酒がある場合には、過剰在庫につながりやすくなります。
飲食店のメニュー変更や小売店の棚整理などを行った場合、販売する商品ラインナップの変化によって取り扱いをやめるお酒が出てきます。十分な準備期間を経た後の変更であれば、徐々に在庫が減らせるためさほど大きな問題にはなりません。しかし、経営方針や社会情勢に急激な変化が発生した場合には、計画に狂いが生じやすく、特定のお酒が過剰在庫になる可能性が高まります。
仕入れミス・大量生産後の販売不振
仕入れミスがあっても、お酒の過剰在庫が発生します。
典型的な仕入れミスの例が、発注時の数量誤りです。また、このような単純なヒューマンエラー以外にも、季節要因や社会情勢の変化などがからみ、需要の読みが外れることも多々あるものです。たとえば、夏季にビールの在庫を増やしたものの、冷夏で思ったほど需要が伸びなかったケースがこれに該当します。また、この需給ギャップは酒造メーカーにも当てはまります。
閉店や移転
店舗の閉店や移転時には、大量のお酒の在庫処分が必要になる可能性があります。
移転の場合には、立地や移転タイミング、倉庫スペース、商品によっては、今ある在庫を運搬して移転先でそのまま利用できる場合もあります。しかし、移転先の倉庫スペースが狭かったり、取扱商品に変更があったりする際には、在庫の整理が必要です。
また閉店の場合には、店舗の契約満了日や倉庫費用などの観点から、すみやかに在庫処分する必要がでてきます。特に、予想外のタイミングでの閉店時には、通常ではさばききれないほどの大量ロットの在庫が発生しがちです。
商品の入れ替え
お酒の過剰在庫は、商品の入れ替えによっても発生します。
ここでいう入れ替えとは、商品自体のリニューアルを指します。新旧の商品が混在した状態での提供・販売が難しい場合も多いため、旧商品は迅速に処分しなければなりません。旧商品は通常ルートではさばきにくい傾向があるため、在庫処分にひと工夫が必要となります。
輸入による大量ロットの確保
輸入による大量ロットの確保も、お酒の余剰在庫につながる要因です。
お酒は、海外からの輸入商品も大量に流通していますが、国内製品に比較し大量ロットでやり取りする傾向が見られます。これは、船便の利用で輸送に時間がかかり、かつ一度に入荷することでなるべく輸送コストを抑えようとするためです。なかでも輸入ワインは需要が高く、大量に輸入する傾向があるため特にその兆候が顕著です。
このような大量ロットの在庫を確保することで、経営不振や社会情勢の変化などにフレキシブルに対応しにくくなるため、過剰在庫につながりやすくなります。
買取できるお酒の種類
買取できるお酒の種類にはさまざまなものがあります。具体的な例としては、以下のものが挙げられます。
<買取できるお酒の種類の例>
・ウィスキー
・ブランデー
・ワイン
・シャンパン
・日本酒
・焼酎
・中国酒
・ジン
・テキーラ
・ウォッカ
・ラム
ただし、買取業者によって取扱可能なお酒に違いがあるため、利用の際には事前の確認が必要です。
買取できないお酒は?
買取できないお酒としては、開封済みの商品が挙げられます。一度開封してしまうと変質している可能性が高く、衛生上の問題もあるため買取してもらえません。
また、賞味期限の設定があるお酒の場合、賞味期限切れのものも買取対象外になりやすいのです。これは、中身の品質に劣化がある可能性が否定できないためです。同様の理由により、賞味期限の表示の無い(製造日の表示はある)日本酒は製造から1年以上経過していると買取が難しい場合もあります。
それぞれのお酒の種類やその保管方法によって買取りの対象になるかどうか、判断がわかれますので、専門の業者に相談するのが良いでしょう。
お酒の賞味期限
お酒には種類によって、賞味期限があるお酒・賞味期限が無いお酒・製造年月を明記する必要があるお酒の3通りがあります。
賞味期限や消費期限の設定は、食品衛生法によって義務付けられています。しかしこの対象となるのは、製造後に変質や腐敗の恐れがある食品に限られます。アルコールには殺菌作用があることから、アルコール濃度の高い酒類であれば、腐敗や著しい品質劣化の可能性がとぼしいとされ、賞味期限などの表示義務がありません。ワインやウィスキーをはじめ、多くのお酒に賞味期限が記載されていないのはこのためです。
ただし、お酒の種類によっては、賞味期限を表示なければなりません。メーカーが賞味期限を設けているお酒の例としては、ビールやチューハイなどが該当します。
また、清酒(日本酒)に関しては製造年月を明記する義務があります。これは食品衛生法ではなく、酒税法で定められた清酒の製法品質表示基準によるものです。
賞味期限や製造年月の表記があるお酒の場合、買取時のチェックポイントになるため注意しましょう。
出典:国税庁「テーマ06 お酒のおいしさについて」、国民生活センター「清酒に賞味期限が表示されていない」
お酒の在庫の買取手順と方法
お酒の在庫を買取に出す際には、一般的には次のような流れで取引を行います。
<一般的な買取手順>
・買取業者に対し、メール・電話・FAXなどで問い合わせや査定依頼をする
・買取業者に商品の情報、数量、保管情報など詳しく提供する
・買取業者が商品の査定を行う
・査定の結果やその他条件に納得がいったら、商品の売買契約をかわす
・商品を納入する
また、一般的には以下のような買取方法があります。
<一般的な買取方法>
・買取業者側からの出張買取
・買取業者への持ち込み依頼
・運送業者を利用した納入
上記はあくまで一例です。実際の買取時の流れや買取方法は業者によって異なるため、不明な点があればまずは問い合わせて確認しておきましょう。
お酒の在庫を買取に出す際のポイント
お酒の在庫を買取に出す際には、以下のようなポイントがあります。
<お酒の在庫を買取に出す際のポイント>
・買取業者の免許を確認する
・高額買取のポイントを意識する
・買取業者の取引実績を確認する
具体的には、次のような点に注意が必要です。
買取業者の免許を確認する
お酒の在庫を買取依頼に出す際には、まずは買取業者が所持する免許を確認しましょう。
酒類の取り扱いや販売の際には、税務署に対し、お酒の種類や販売方法にみあった許可を取る必要があります。許可や条件にはさまざまなものがあるので、業者の持つ免許によっては買取に制限が発生する可能性があります。
具体的には、お酒を売る際には酒類販売業免許が必要です。酒類販売業免許は大別すると、一般消費者や飲食店などを対象に販売する「酒類小売業免許」と、製造者や酒類販売業者を対象とする「酒類卸売業免許」とに区分されます。そこからさらに、店頭販売やインターネット販売、ビールの卸売り、洋酒全般の販売など、それぞれの事業対象によって免許が細分化されます。
自社の取り扱う商品や望む販路に、必ずしも買取業者側が対応しているとは限りません。安全かつ効率的に取引を行うためにも、買取業者の取得免許は事前にしっかり確認しておきましょう。
高額買取のポイントを意識する
お酒の買取時には、高額買取のポイントを意識することも大切です。
たとえば、箱に入っている・ノベルティが付いているなどのお酒は、それらの付属品が一式揃っている方が買取価格は高くなります。管理や輸送のコストを下げる理由で付属品を省いてしまうと、買取価格が下がる可能性があるため注意が必要です。また、温度や湿度の管理、ラベルの状態など、保存状態がよい商品の方が高品質であると評価され、高値が付きやすいのが一般的です。
買取業者側の対応としては、酒類を買取強化中の場合や、まとまったロットの依頼で高値買取可能なケースもあります。上手に活用し、有利な取引につなげましょう。
買取業者の取引実績を確認する
買取業者の取引実績を確認しておくのも、お酒の買取依頼時のポイントです。
買取業者によって取引の得手不得手があるものです。自社が望む取引を得意とする業者であれば、有利な条件でスムーズに買取してもらえる可能性が高まります。
どのような商品を買い取っているのか、大量ロットの買取にも対応しているのかなど、買取業者のホームページを利用して実績を確認しておくのがおすすめです。
まとめ
今回は、お酒の在庫の買取事情について解説しました。業者によって条件に違いはあるものの、一般的には多様なお酒が買取対象となります。お酒の過剰在庫に悩む方は、一度買取業者へ相談してみてはいかがでしょうか。
アイムライズでは、法人様限定ではありますが、食品はもちろん酒類の買取にも積極的に対応しています。買取実績は随時ホームページ上で公開しているので、貴社のケースにマッチしそうか、ぜひ参考にしてみてください。お酒の買取を検討中の方や、少しでも興味のある方からのお問い合わせをお待ちしております。