我社にもやって来た!食品ロスに繋がるパッケージ表示のミスプリント(誤植)…我々に解決できるのか?

今年(2021年)の1月にサッポロさんの「LAGER(ラガー)」ビールのデザイン表記が誤って「LAGAR」と「E」が「A」となっていまい、販売中止の方針を決めたのですが、SNSなどで「廃棄はもったいない」「フードロスになる」などと販売を求める声が多くあがり、共同開発したファミリーマートと協議の上、方針が覆り無事販売することなった話題をご存知だろうか?

私個人もSNSで、品質に問題なく、食品表示法上も問題ないはずなので、是非販売をしていただくよう投稿しました。更にハッシュタグ「#EじゃなくてもAじゃないの」と発信された方のダジャレセンスに感心し、拡散に乗っかりました。その後、販売方針が変わりファミリーマートで販売されると、2本購入し1本は美味しくいただき、もう1本は100年後のお宝?として大切に保存しております。(笑)

朝日新聞記事
https://www.asahi.com/articles/ASP1F6VJSP1FUTIL04G.html

誤植と聞くと…

印刷会社、デザイン会社、メーカー担当者は言葉を聞くだけで胃が痛くなりそうです。親戚の印刷会社に務める営業マン曰く「他人事とは思えない」っと同情していました。そりゃそうですね、販売中止となれば相当な損害が発生するし、大手企業になれば大量な生産ロットでしょうし、プレスリリース後の販売中止では、関係者の方々は大変だったのだろうな~なんて考えつつ、同じようなことで表沙汰にならず、廃棄されてしまった商品もありそうだな。品質に問題がない食品がどんな理由であれ廃棄されてしまうのは、やはり「もったいない」と改めて思った事例でした。
そんな記事も忘れかけた3月…

弊社に1本の相談電話がありました。

担当した営業が内容を伺うと、在庫の買取希望で

商品情報概要

  • 商品名:おばあちゃんのお家のとろろ汁(100g/パック)
  • 規格区分:冷凍食品
  • 賞味期限:2021年08月23日
  • 在庫数:約7,200パック(ケース入数20パック)360ケース
  • 最低出荷ロット:6ケース以上(120パック)
  • 販路:可能であれば、小売ではなく開封・調理して提供する店舗(調理居酒屋、レストラン、飲食店、弁当、お惣菜など)を希望
  • 個包装(パッケージ)の食品表示に誤植(印刷ミス)がある。
  • メーカー:有限会社 粉川

(誤)エネルギー 57g  → (正)エネルギー 57kcal

販路に関して、なぜ小売がNGか?と伺うとパック(個包装)の食品表示欄で誤植(ミスプリント)があり、一般消費者に販売した場合、食品表示法に抵触する可能性、消費者からのクレーム対応などを考えると、小売をしない方が良いのでは…との判断からでした。(サッポロさんのLAGERビールのようだ!)

メーカーさんの立場にたてば小売NGは理解できます。しかし、今はコロナ禍であり居酒屋、レストランなど飲食店、ホテルなどへの販売も難しい、お弁当、お惣菜屋さんなどは可能はあるが、コストの課題、小規模店舗だと量が捌けないこともあり、業務筋への販売は厳しいとお伝えしました。そして、小売での販路も視野に検討していただくようお願いしました。また同時に最悪販売できない状況になりそうな時は、フードパントリー、子供食堂、社会福祉団体などへの寄贈も検討していただくよう合わせてお願いしました。

これだけ素材にこだわり、出汁にこだわった
とっても美味しい「おばあちゃんの家のとろろ汁」!!
捨てるのはあまりにも、もったいない!!

このような事態が起こった場合、メーカーさんはどの様に考えるか?

・この商品製造原価分の実質損が発生してしまう。

・販売できない場合の廃棄処分費用が発生してしまう。

・食品メーカーとして自信を持って販売できる美味しい商品食品ロスにしたくない。

・少しでも資金を回収したい。

・販売した場合クレームを受けたくない。

・販売するために、更に手間と費用がかかるのは避けたい。

・会社のネガティブ情報を出したくない。

他にも状況により色々あるかもしれませんが、このようなメーカーさんの課題を、お互い協力しながら一つずつクリアすることで、解決に繋がります。

今回、LAGERビールのケースと決定的に違うことは、

LAGERビールの誤字はデザイン部分なのに対して、とろろ汁の誤字は食品表示法上で義務化された「栄養成分表示」に関わる部分であるということです。如何に品質上問題は無いと言っても、適正な食品表示がされていない状態で販売するには問題があります。だからといって、冷凍されている7,200パックのパッケージの入れ替えや栄養表成分表示シールの貼替えは、余分なコストがかかりすぎて現実的な解決策ではありません。冷凍食品なので配送料も高い!

その後、何度もメーカーの担当者と弊社営業、そして販売候補先と相談し、小売での販売もOKを頂き、さらに行政にも確認し導きだした答えは…

箱単位での小売販売

ネット通販サイトで箱売りをすることになりました。1箱20パック入りです。
パックの表記はそのままで、箱の外側には以下のような表示ラベルを貼りました。

箱の中には、封筒に誤表記に関する説明とお詫び状も入れることになりました。

ご相談のメールを頂いてこの販売方法に至るまで、約2ヶ月かかりましたが、弊社の営業マン曰く「乗りかかった船ですから、なんとか販売にこぎつけたかった。少しでもメーカーさんと一緒に解決につなげたかった!」と…こんな熱い思いを語ってくれました!

そんなわけで、一般の消費者の皆さんは、こちらで購入いただけます。

まだ、在庫があります。賞味期限は迫っていますが、小売で販売していただける企業・店舗様、または業務用の食材として仕入れていただける企業、団体様は、弊社HPのこちらからお問い合わせください。

また、今回のような事情で在庫を抱えてしまっている企業様、廃棄をする前にご相談ください。一緒に協力し解決策を検討しましょう。在庫買取の相談はこちらからお問い合わせください。

追伸:本掲載は、メーカーである有限会社粉川様の承諾を得て掲載させていただきました。このような事例の公開を承諾いただけたこと、粉川様の企業姿勢にスタッフ一同心より敬意を表するとともに深く感謝申し上げます。ありがとうございました。

アイムライズ株式会社
スタッフ一同