流通業界では、雑貨と日用品は総称して「日雑」と呼ばれます。製造メーカーは「日雑メーカー」、卸業者は「日雑卸業者」などと呼ばれ、私たちの生活に深く関わる多種多様な商品を日々生み出し続けています。そんなメーカー様や卸業者様の中には、過剰な日雑在庫を抱えて悩んでいるケースもあるのではないでしょうか。
今回は、雑貨と日用品の商品例や、余剰在庫になりえるケースなどを説明していきます。どのような商品が買取対象となるのかを確認し、ぜひ今後の在庫処分に活かしてください。
雑貨・日用品の種類と買取可能な商品
まずは、雑貨と日用品の種類や、買取可能な日雑商品について、順を追って整理していきましょう。
日用品とは、家具や陶磁器、文房具、メガネなど、日常生活に密着したアイテム全般のことを指します。また、雑貨は洗剤や石鹸のような消耗品をはじめ、文房具など一部の日用品を含めて分類されます。どちらも明確な定義が決まっているのではなく、統計や文献などによって扱いが異なるのが一般的です。
日用品と雑貨の例は以下の通りです。
日用品 | 家具、オフィス家具、金属製品、合成樹脂製品、陶磁器・食器、ほうろう鉄器、漆器、ガラス製品、木竹製品、刃物、スポーツ用品、ベビー用品、文房具、楽器、玩具、喫煙具、眼鏡、宝石 |
雑貨 | 化粧品、化粧雑貨、美術工芸品、宝石、貴金属、時計、眼鏡、スポーツ用品、文房具、事務用品、書籍、玩具、人形、CD、楽器、カメラ、医薬品、石けん、美容・理容器具、医療器具 |
また雑貨と日用品は、使用目的によって生活用品と文化用品とに大別することもできます。それぞれの分類例は次の通りです。
生活用品 | 台所用品・食卓用品、衣服、身の回り品、履物、装身具・銀器、家庭用繊維製品、家具、冷暖房・調理用機器、衛生設備用品、その他住生活用品、医療用品等、医薬品等、化粧品・歯磨き・洗剤と家庭用化学製品 |
文化用品 | 娯楽装置・玩具、楽器、スポーツ用具、印刷物・レコード・記録物、文具・紙製品・事務用具等、美術品・骨董品、その他の生活・文化用品 |
商品の状態や買取業者にもよりますが、ここに例として挙げた雑貨や日用品は広く買取対象となりえます。
出典:経済産業省「日用品」、日本百貨店協会「日本百貨店協会商品分類表」、CFPプログラム 第2回定量型環境ラベル検討委員会「参考資料4-1 汎用性のあるPCR「日用品」の対象製品分類の範囲」
雑貨と日用品の使用期限
雑貨と日用品の中には、医薬品や化粧品など、時間の経過とともに変質することが予想される製品もあります。しかしこれらの商品には、使用期限が明確に記載されているものと、記載がないものとがあります。この表記の有無は、日本の薬機法に基づいて決定されます。
薬機法では、未開封、かつ適切な保存条件下で3年以上性状・品質を保てる製品は、使用期限の記載が不要であると定められています。つまり、使用期限の記載がない化粧品などは、製造から3年以上、流通時のタイムラグを差し引いても数年程度は使用可能です。使用期限が3年より短いものについては、使用期限が明記されているので、それに従います。
なお、この使用期限は、あくまで新品未開封のものについて当てはまります。いったん開封してしまった商品は劣化が進みやすいため、種別や保存状態にもよりますが、ワンシーズンや数カ月をめどに使い切るべきとされるのが一般的です。
余剰在庫になりやすい雑貨・日用品の特徴
3年超の長期保存に耐える製品も多い雑貨や日用品ですが、中には余剰在庫になりやすい製品もあります。余剰在庫になりやすい雑貨や日用品には、一般的には次のような特徴が挙げられます。
<余剰在庫になりやすい雑貨・日用品の特徴>
・使用期限の表示がない家庭用化学製品
・急激な環境変化による需給バランスの変動を受けた商品
・小売店からの在庫返品契約を結んでいる商品
具体的に説明していきます。
使用期限の表示がない家庭用化学製品
使用期限の表示がない家庭用化学製品は、余剰在庫になりやすい特徴があります。これは、在庫管理が煩雑になるためです。
先ほど説明した通り、3年以上保存のきく化学製品は、使用期限の表記がないのが一般的です。しかしこれらの製品は、一見しただけでは製造日から3年経過しているのかどうかが判別しにくくなっています。保管状態によっては、予想を超えて品質劣化している可能性も否定できません。
そのため、ただ商品を保管しているだけでは適切な在庫管理がしにくいという欠点があります。このような理由から、他の日用品雑貨に比べて余剰在庫につながりやすいのです。
急激な環境変化による需給バランスの変動を受けた商品
急激な環境変化が起こり、需給バランスが予想外に変動した商品も余剰在庫になりやすい特徴があります。不意な変化は予想がつきにくいため、どうしても生産計画が実情とかけ離れがちです。環境変化の例としては、パンデミックや季節要因が挙げられます。
たとえばコロナ禍に突入後、マスク、消毒液、アクリル板、殺菌・除菌グッズなどの需要が急激に増加したのは記憶に新しいところです。しかし、5類感染症に移行するなど状況が収束するに従い、これらの需要はどんどん減少していきました。
また、激しい気候変動により気候予想が外れてしまい、販売不振になる季節商品もあります。たとえば、猛暑と予想された夏に冷感関連グッズを大量に製造したところ、実際には冷夏になるようなケースです。ニーズにマッチしない商品を過剰に作れば、売れ行きが伸び悩み、余剰在庫につながりやすくなります。
小売店からの在庫返品契約を結んでいる商品
小売店からの在庫返品契約を結んでいる商品も、余剰在庫になりがちです。これらのケースでは、先方都合での急な返品から、予定外の在庫が発生しやすくなります。
特にドラッグストア、ホームセンター、家電量販店など店舗数の多い取引先へ納品する場合には大量の在庫が必要になるため、その兆候が顕著です。納品後、先方の販売不振などから返品が重なると、いっきにメーカーや卸売業者の過剰な滞留在庫となります。
書籍の流通など返品ありきの業界でも、雑貨や日用品の過剰在庫が起こりやすいです。ムック本といわれる雑誌の付録として、バック、ポーチ、枕、キッチン用品などの雑貨を付けて販売するケースがあります。この雑誌が返品されれば、付録の雑貨も同時に返品在庫になってしまいます。大手コンビニの店頭に並ぶムック本は特に影響度が高く、売れない商品が各店舗から一度に返品されることで、さばききれないほど大量の余剰在庫に直結しかねません。
買取に注意が必要な雑貨・日用品
初めに説明した通り、買取業者はさまざまな雑貨や日用品を買い取りしています。しかし、次のような商品は取り扱いに注意が必要なため、買取対応してもらえない可能性が考えられます。
<買取に注意が必要な雑貨・日用品>
・ロットの記載があるような製造日が管理されている製品
・劣化しやすい商品
それぞれ詳しく説明していきます。
ロットの記載があるような製造日が管理されている製品
商品のパッケージにロットの記載があるなど、製造日が管理されているような雑貨や日用品は、買取依頼の際に注意が必要な製品です。
医薬品、医薬部外品、化粧品に該当しない家庭用化学製品は雑貨扱いとなります。そんな雑貨の中でも、洗剤、入浴剤、除菌シートなど私たちの健康に深く関わる製品は、メーカー側で製造日などを厳重に管理しているケースも少なくありません。このような商品では、製造日や推奨する使用期限について、事前にメーカー側への確認が必要な場合があります。
たとえ新品未開封であり、保存状態がよい品物でも、メーカーの回答次第では買取不可となる可能性もあるので注意しましょう。
劣化しやすい商品
劣化しやすい雑貨や日用品についても、買取依頼には注意が必要です。日用品雑貨によっては、比較的長期保管しても品質に問題が起こりにくい商品も多くあります。しかし、どんなに保管状態に気を配っていても、劣化が起こりやすい材質はあります。たとえば、プラスチックやポリウレタン製品がそれに該当します。これらを使用した雑貨や日用品は、一見したところ品質に問題がないように見えても、実は折れたり割れやすくなったり脆くなったりしている場合もあるので要注意です。
その他のケースとしては、たとえば電池の場合には自然放電して使えなくなっている恐れもあります。また、商品自体は劣化していなくても、パッケージが焼けるなどして劣化している場合もあります。
製造から時間が経った雑貨や日用品在庫は、買取不可となりやすい傾向が見られるので注意しましょう。
まとめ:明確な期限がなくても、雑貨や日用品は早めの買取依頼がおすすめ!
消費期限や賞味期限が定められている食品と異なり、雑貨や日用品の中には、長期保存のきくものや、明確な使用期限が定められていない製品も多くあります。そのため「後期保管が大丈夫だから売れるタイミングがくるまでしばらく持っていよう」と考え、つい対応を先延ばしにしがちです。しかし、大量の在庫をそのまま放置することで、経費がかさむ・いざ売ろうと思ったときに売れないなど、思わぬ落とし穴にはまるかもしれません。
そのため、雑貨や日用品についても早めの在庫処分がおすすめです。在庫処分の方法としては、廃棄するのではなく、ぜひ買取での処分を検討しましょう。廃棄すれば廃棄コストがかかりますし、長く保管していればその分倉庫費用が日々かさみます。一方、買取を利用すれば企業の利益に貢献可能です。
抱えている在庫が買取できるかできないかは、商品によって異なります。在庫処分や商品の査定依頼を検討中の方は、まずはアイムライズまでお気軽にご相談ください。