食品の寄付|寄付のメリット・対象食品・ポイントを法人向けに解説

生産計画の狂いや外箱の損傷などのさまざまな理由から、商品として扱えなくなった大量の食品在庫を抱え、頭を悩ませている食品関連企業の担当者様もいるのではないでしょうか。これまでかかったコストや廃棄にかかるコストを考えると、なるべく有益な在庫処分法を検討したいところです。

そんな場合に浮かび上がる選択肢の一つが「食品の寄付」ではないでしょうか。食べ物として問題のない品質であれば、たとえ商品にはならなくても、寄付によって多くの人を助ける価値ある食品へと昇華させられます。そこで今回は、食品寄付のメリットや、寄付の対象となる食品、食品寄付を検討する際のポイントを紹介します。ぜひ参考にしてください。

食品寄付(フードバンク、フードパンドリー、子ども食堂、社会福祉団体など)のメリット

食品の寄付は、流通システムに乗せられない訳ありな食品在庫の処分方法として、非常に有用です。

言うまでもなく食品の寄付は、食べ物を贈ることで命をつなぐ意義ある活動です。一方で寄付する企業側から見れば、単に人助けができるだけでなく、倉庫費用・管理費・廃棄費用などのコストカットが可能なメリットがあります。廃棄予定の食品をフードバンクに寄付した場合、全額損金処理できる税制上の利点もあるため、節税対策にもつながります。

また、政府も食品寄付を積極的に支援する体制を取っています。企業に課せられた社会的責任CSRや、持続可能な開発目標SDGsの使命を果たすなど、社会貢献に大きく寄与可能です。寄付によってブランドイメージがアップすれば、長い目で見てファンの獲得にもつながるでしょう。

食品の寄付先には、フードバンク・フードパンドリー・子ども食堂・社会福祉団体などさまざまな団体があります。自社の食品をうまく活かせる団体を見つけ、社会貢献に活かしていくのが大切です。

参考:農林水産省「フードバンク」、国税庁「フードバンクへ食品を提供した場合の取扱い

どんな食品が寄付の対象となる?

寄付の対象となる食品は、法人の場合、以下の通りです。

<寄付の対象となる食品>

・未開封・未使用の食品

・賞味期限内の商品

・品質上問題のない外箱破損の食品

食品の寄付は、個人で行うことも少なくありません。しかし個人と法人とでは若干ながら受入条件が異なるのが一般的です。法人の場合、具体的には次のような食品の寄付を受け付けている傾向があります。

未開封・未使用の食品

まず、基本的に寄付の対象となるのは、未開封・未使用の食品です。食品という性質上、開封していたり一部でも使用していたりすると品質を損ない、衛生上の問題が起こり得ます。そのため、手つかずの新品である必要があります。

未開封・未使用の食品のみ寄付可能なのは、法人・個人に限らず共通の条件です。

賞味期限内の商品

受入可能な食品は、原則的には賞味期間内の製品に限られます。賞味期限が切れていても、消費期限内であれば実際には食べられますが、受取手の安心や安全につなげるためには、やはり賞味期限内である保証が必要なようです。ただし最近では、貧困層の拡大でフードパンドリーなどで提供できる食品の量が足りなくなっており、寄付をうける側に告知した上で賞味期限が少し過ぎた食品を提供している団体も徐々に増えつつあります。

賞味期限までどれくらいの猶予があれば受取可能かは、受入先の団体や食品の種類によってまちまちですが、一般的には期限まで2~3ヶ月以上必要な傾向が見られます。受入団体を通じ、食品を必要とする各個人に寄付品が行き渡るまでには、ある程度時間がかかることが予想されます。それを加味し、期限切れまで数ヶ月の猶予は必要なようです。

品質上問題のない外箱破損の食品

法人からの寄付の場合は、品質上問題ないという前提のもと、外箱つぶれの食品でも寄贈可能なことがあります。輸送などの段階で外装が傷ついてしまっていても、中身に影響がないのであればまだまだ消費可能です。

ただし、外箱破損の食品の扱いについては団体によって異なります。また、破損の経緯や程度によっては受け入れてもらえない可能性もあるので、写真などを使って事前に説明しておくとよいでしょう。

なお法人とは異なり、個人からの寄付の場合には、外装に問題がある食品は受入不可の場合がほとんどのようです。

寄付の対象となる食品例

寄付の対象となる食品例としては、次のような品目が挙げられます。

<寄付の対象となる食品例>

・穀類

・保存食品

・レトルト食品・インスタント食品

・フリーズドライ食品

・菓子類

・調味料

・飲料

・生鮮食品

・冷凍食品

それぞれの項目について、具体例の紹介や説明をしていきます。

穀類

米(白米・玄米)、麺類(そば・うどん・そうめん・パスタ)、小麦粉など

食品を寄付する際、主食はとくに重宝されます。

なお米については、明確な賞味期限や消費期限が設けられていません。そのため、常識の範囲内で古くない製品が求められます。一般的には、白米は精米から1~2ヶ月がおいしく食べられる期限といわれています。玄米は1年程度までおいしく食べられますが、これらの期限を超えていても、品質が損なわれていなければ受入可能なことが多いようです。玄米は受け入れていないなど、団体によって条件が異なるので注意が必要です。

保存食品

さばの缶詰、ツナ缶、桃の缶詰、オリーブの瓶詰など

これらの保存食品の中では、おかずになる野菜や魚の缶詰などがとくに喜ばれる傾向が見られます。

レトルト食品・インスタント食品

レトルトカレー、インスタントラーメンなど

フリーズドライ食品

のりなどの乾物、まめ、野菜、味噌汁など

菓子類

クッキー、チョコレート、せんべい、スナック菓子など

調味料

しょうゆ、みそ、塩、食用油など

飲料

水、ジュース、お茶、コーヒー、紅茶など

生鮮食品

りんご、バナナ、じゃがいも、にんじん、トマトなど

野菜や果物などの生鮮食品は鮮度が落ちやすいので、地元の農家からの寄付など条件付きで受け付けている場合があります。食品関連企業や小売業者など、農家以外の法人からの寄付の際には要相談での対応となるか、受け入れ自体不可となる場合も少なくないようです。個人での寄付は、受け入れる団体によって不可となる場合がありますので、事前に確認した方がよいでしょう。

冷凍食品

魚、肉、惣菜、麺類などの各種冷凍食品

冷凍食品も、法人からの寄付では受け付けていることがあります。一方で取り扱いの難しさがあるため、個人からの寄付の際には常温保存可の食品のみを対象とする場合が多いようです。

食品の寄付を検討する際のポイント

食品の寄付を検討するにあたっては、いくつか注意すべきポイントがあります。次のことに留意しつつ寄付を検討しましょう。

<食品の寄付を検討する際のポイント>
・団体側の受け入れ条件を事前にしっかり確認する
・配送コストはどちらが負担するかを確認する
・合意書・確認書の締結に配慮する
・倉庫設備や管理体制の整った団体を選ぶ
・自社の事情にマッチした商品の活用方法を検討する

それぞれ具体的に説明していきます。

団体側の受け入れ条件を事前にしっかり確認する

食品の寄付を検討する際には、まずは各団体ごとの受け入れ条件を事前にしっかり確認しておきましょう。食品の受入体制は、団体ごとに異なります。それを把握しないまま寄付したのでは、わざわざ贈ったにもかかわらず受取拒否の憂き目にあう可能性があります。

たとえば、規格外などで販売が難しい野菜・果物・冷凍食品・パンなどを受け入れている団体もありますが、必ずしも生鮮食品や冷凍食品が受付可能なわけではありません。

また、スムーズな寄付のためには、商品の内容とともに寄付の背景を明確化して事前に相手に知らせておくことも大切です。賞味期限間近・包装エラーなど、なぜ寄付に至ったのかを伝えることで商品の状態がわかりやすくなり、条件のアンマッチを避けられます。

配送コストはどちらが負担するかを確認する

寄付する企業側が「商品代はタダで良い、寄付する」と言っていただいても配送コストはどっちが負担するか、という問題が少なからず発生します。
企業側は、配送コストを負担したくない。寄付を受け入れる側は、人手もなく引き取りに行けない。配送コストを負担するほどの資金がない。
このようなケースでは何らかの解決案がないと、寄付が成立しません。最近では自治体などの補助金で配送費用を負担する支援制度もできつつあります。このような支援制度が増え、寄付が活発化することも期待したいです。

合意書・確認書の締結に配慮する

食品を寄付する際には、合意書・確認書の締結にも配慮しましょう。商品の転売などを防ぐ意味合いからも、必要な書面を取り交わすのは大切です。全額損金処理できる税制上のメリットを享受するためにも、しっかり対応してもらえる団体を選ぶ必要があります。

なかには継続的な寄付を受け付けている団体もありますが、継続利用の場合はとくに注意しましょう。

倉庫設備や管理体制の整った団体を選ぶ

倉庫設備や管理体制の整った団体を選ぶのも、食品寄付の際に気をつけたいポイントです。食品の衛生管理上、換気や温度管理に配慮する必要があります。せっかく寄付した食品を最大限活用してもらうためにも、ぜひチェックしておきましょう。

万が一にも先方の管理体制が不十分な場合、最悪のケースでは体調不良や食中毒が起こらないとも限りません。適切な施設や管理体制を整えている団体に寄付するのがおすすめです。

自社の事情にマッチした商品の活用方法を検討する

そもそもの大前提として、自社の事情にマッチした商品の活用方法を検討するのも大切です。食品在庫は自社の資産であり、ここに至るまでにさまざまなコストがかかっています。正規のルートで販売できないからといって安易に処分することなく、慎重な対応を行いましょう。

寄付の際には、受入団体によっては輸送費などのコストがかかる可能性があります。廃棄よりはコストを抑えられ、損金算入も可能とはいえ、なるべく自社の負担を抑えられる寄付先や処分法を探すのが賢明です。そもそも、該当食品の寄付を受付可能な団体が見つからないこともあり得るので、その場合には別の対処方法を検討する必要があります。

もし、一般消費者に広くアピールしつつ在庫処分したいのであれば、寄付よりもキャンペーンの実施で在庫をさばく方が有効活用できるかもしれません。また、少しでも商品を現金化したいのであれば、買取業者の利用を検討する余地もあるでしょう。

食品の寄付には大きな意義があります。しかし、流行っているから・他社がやっていたからと安易に寄付を決めるのではなく、自社の実情に則した在庫処分方法を入念に検討するのが肝要です。

まとめ

今回は、食品寄付のメリットや、寄付の対象となる食品、食品寄付を検討する際のポイントを紹介しました。食品の寄付には大きな意義があり、企業側にもコストカットや社会貢献への寄与など、大きなメリットがあります。うまく活かせば相互利益につながりますが、社の実情にそぐうのか、慎重な判断が求められます。

アイムライズでは、多様な食品の買取を行うと同時に、どうしても買取りできない商品等に関して、食品ロス削減や社会福祉貢献の観点から、寄付の斡旋をしております。過剰在庫でお困りの企業担当者様は、ぜひ一度弊社までお問い合わせください。