食品プライベートブランド(PB商品)の市場拡大と在庫課題の解決方法

近年、食品業界におけるプライベートブランド食品(PB食品)市場は、国内外で急速に拡大しています。
そこで今回は、ここ数年の市場規模の推移と、今後も拡大するPB食品市場でフードロスになる可能性と残在庫になった際の解決方法をご紹介します。ご一読ください。

国内食品におけるPB市場の成長率

2019年:国内PB市場規模は約7.9兆円
2021年:国内PB市場規模は約9兆円
2023年:国内PB市場規模は約10兆円

と推定されており、2019年と2023年での対比で約27%近く増加し、年間5%~7%の割合でPB食品市場は成長していると言われております。
更に、2025年には約12兆円、2030年には約15兆円との予測もあります。

PB商品の市場拡大の要因

それでは拡大要因を、消費者の視点、小売業者の視点から見てみましょう。

消費者の意識変化

  • 近年、消費者の間では価格志向が高まっており、PB商品はナショナルブランド商品よりも低価格なため、人気が高まっています。
  • PB商品の品質は向上しており、ナショナルブランド商品と同等またはそれ以上の品質を誇る商品も多数存在するようになっています。
  • 女性の社会進出や人口の高齢化が進み、個食化、簡単で便利な加工食品のニーズが高まり、手軽に購入できるPB食品の人気が高まっています。
  • 円安、インフレの影響で消費者は節約志向を強めており、PB商品は比較的安く販売されているので、売上を伸ばしています。

小売業者の積極的な取り組み

小売業者は自社や自社グループ内での販売を伸ばすため、PB商品の開発に積極的に取り組んでおります。その主な理由を4つ挙げてみましょう。

1.粗利益率の向上

プライベートブランド商品(PB商品)は、小売業者が独自に企画・開発するため、メーカーブランド商品よりも仕入れ価格を抑えることができます。その結果、販売価格を下げながらも、より高い粗利益を確保することが可能になります。

2.商品の差別化

小売業者の独自のコンセプトやニーズに合わせて開発されるため、メーカーブランド商品とは異なる商品を販売することができます。これにより、競合店との差別化を図り、顧客満足度を高めることができます。

3.顧客ロイヤリティの向上

PB商品は、小売業者のブランドイメージを反映した商品であるため、顧客がその小売店を支持する理由の一つとなります。PB商品を購入することで、顧客は小売業者との一体感を持ち、より深いロイヤリティを築きやすくなります。

4.ブランドイメージの向上

高品質なPB商品を販売することで、小売業者は自社のブランドイメージを向上させることができます。これにより、顧客からの信頼を獲得し、さらなる業績向上につなげることができます。

近年、PB商品はますます重要性を増しており、多くの小売業者が積極的に取り組みを進めています。

PB商品が成功するためには、

  • 消費者のニーズを的確に把握すること
  • 高品質な商品を開発すること
  • 魅力的な価格設定をすること
  • 効果的なマーケティングを行うこと

以上の点が重要となります。

PB商品は、小売業者にとって大きなチャンスとなる一方で、各社、各グループがPB商品を打ち出しており、競争が激化する中で、成功するためには多くの企業努力が必要となります。

プライベートブランド市場(PB商品市場)がフードロスに繋がる可能性

食品業界におけるプライベートブランド市場(PB商品市場)は拡大を続けており、消費者にとっても魅力的な存在となっています。しかし、一方で、PB市場の拡大がフードロス問題にどのような影響を与えるのか、懸念される声も上がっています。

PB市場におけるフードロス発生の可能性について、様々な角度から考察する視点を提示し、フードロス削減に向けた取り組みについて検討する必要があります。

大量生産・大量販売のロジック

多くのPB商品は、低価格で販売するために、大量生産・大量販売のロジックに基づいて製造されています。しかし、需要予測の誤りや販売不振などの要因により、余剰在庫が発生し、フードロスにつながる可能性があります。

短納期・高回転

PB商品は、ナショナルブランド商品よりも販売期間が短く、回転率が求められます。しかし、短納期・高回転のプレッシャーの中で、適切な在庫管理が難しくなる場合があり、食品ロスが発生しやすくなります。

規格外品の扱い

PB商品は、ナショナルブランド商品よりも規格基準が厳しく設定される場合があります。規格外品は廃棄される可能性が高く、フードロスにつながります。

消費者の購買行動

PB商品は、価格競争が激しい市場に存在するため、消費者は価格を重視して購入する傾向があります。しかし、価格ばかりにこだわるあまり、賞味期限切れなどの原因で食品ロスが発生する可能性があります。

プライベートブランド商品(PB商品)の在庫がフードロスにならない為の解決方法は?

需要予測の精度向上

製造から販売まで、自社か自社グループ内での販売なので、AIやビッグデータ分析などの技術を活用して、より精度の高い需要予測を行うことで、余剰在庫の発生を抑えることができます。

在庫管理体制の強化

小売業者は、適切な在庫管理体制(ITシステム)を構築し、鮮度管理や賞味期限管理を徹底することにより、販売機会を制御し在庫廃棄をコントロールしフードロスの削減に繋がります。

規格外品の活用

規格外品を廃棄するのではなく、加工食品やペットフードなどに活用することで、フードロスを削減することができます。

信頼性の高い買取業者へ販売

基本的に、プライベートブランド商品を社内やグループ会社以外へ販売することは難しいと思われますが、買取業者との間で秘密保持やしっかりとした契約、情報開示、販売方法の許諾確認などを経て、信頼に値する買取業者であれば、プライベートブランド商品でも買取を依頼することにより、様々な選択肢が増えます。

例えば、知名度を上げたいPB商品の在庫を、大学を通じて生活が苦しい学生達の食品支援にプロモーションを兼ねて配布する。この場合は大学側が買い上げてもらえる場合があります。

その他、大手一般企業内に限定したクローズド職域販売、アミューズメントでの景品、カーディーラーとタイアップしたイベント・プレゼント、その他異業種とのタイアップ企画などでプライベートブランドの知名度UPとともに食品ロス削減にも繋がる可能性があります。

フードシェアリング・フードバンクの活用

余剰食品をフードシェアリングやフードバンクを通じて、必要としている人に提供することで、フードロスを削減することができます。寄付のような形になりますが、貧困対策、食品ロス削減という社会貢献が同時に行え、更にプライベートブランド食品の知名度、企業イメージの向上にも繋がるでしょう。

まとめ

PB市場の拡大は、フードロス問題に新たな課題をもたらします。しかし、様々な角度からフードロス発生リスクを評価し、適切な対策を講じることで、フードロス削減を実現することができます。小売事業間で、プライベートブランドの品質、コスト、品揃え等の競争が激化するなか、そもそも食品とは捨てるものではなく、消費者に食べていただくために創られ、販売されるということを常に意識し、今後の課題を解決されることを望みます。

PB商品の在庫課題がある企業担当者様、まずはどんなお悩みがありますか?どんな課題がありますか?是非ご相談ください。秘密保持契約を締結後に一緒になって解決しましょう。

また、PB食品の在庫課題を解決する為のアイディアがありましたら、アイムライズ株式会社までご提案ください。
 


参考資料

● 経済産業省「食品産業におけるプライベートブランドの現状と課題」
● 農林水産省「平成29年度食品産業におけるプライベートブランドの現状と課題」
● 一般社団法人日本フードサービス協会「PB商品に関する調査報告書」
● 農林水産省「食品ロス削減総合戦略」
● 環境省「食品ロス削減推進法」
● 一般社団法人フードバンクジャパン
● 文章は一部はChat GPT、Geminiにて作成
● 画像はあくまでもイメージ画像でchatGPTとFee素材を使用