化粧品の在庫買取依頼が増加!化粧品の過剰在庫が発生する理由と出口戦略を紹介

最終更新日: 2025/09/25


化粧品業界では、売れ残りなどを理由とした「未利用のまま廃棄される化粧品」が大きな課題となっています。ある調査では、メーカーから卸売業者に販売されたものの、最終的に販売されずに返品された化粧品の額が、年間で約11億円にのぼると推計されています。こうした返品商品は再販が難しく、その多くが廃棄されてしまうのが実情です。この問題は、地球環境にとって大きな負荷となると同時に、化粧品メーカーにとっても深刻な経営課題となっています。

※参考:化粧品業界の闇 「世に出る商品の約50%は廃棄」の悲しい現実 (ELEMINIST)

メーカーにとって、在庫は企業の生命線であり、同時に大きな負担となる可能性も秘めています。特に売れ残ってしまった在庫は、保管費用や廃棄費用を発生させ、新たな商品開発やマーケティング活動への投資を阻害する要因となり得ます。

消費者の好みが多様化し、製品のライフサイクルが短くなる中で、在庫管理の重要性はますます高まっています。このような状況下で、化粧品の「在庫買取」は、環境問題と経営課題を同時に解決する、有効な出口戦略として注目を集めているのです。

今回は、化粧品の過剰在庫がなぜ発生するのか、その理由から在庫買取という出口戦略がもたらすメリット、そして依頼する際の注意点までを、分かりやすくご紹介します。

なぜ発生する?化粧品が過剰在庫になる主な理由

そもそも、なぜ化粧品の過剰在庫が発生してしまうのでしょうか。主な原因として、以下の点が考えられます。

定番カットの通告(販売終了・リニューアル)

市場の変化に対応するため、定番商品をリニューアルしたり、やむを得ず販売を終了したりすることは、ブランドの成長に不可欠な判断です。しかし、その移行準備が不十分だと、過剰在庫の大きな原因となります。
特に、卸売業者や小売店への事前通告が遅れると、流通の現場では対応が間に合いません。結果として、店頭に残った旧製品が行き場をなくし、メーカーへの大量返品に繋がってしまいます。

これを防ぐためには、販売終了を決定したら、できるだけ早い段階で取引先へ通告し、最終発注の時期やスケジュールを丁寧に共有することが重要です。同時にお客様へも、公式サイトやSNSで「ご愛顧感謝キャンペーン」のような形で告知を行い、代替品を案内するなど、丁寧なフォローを重ねることで、在庫を最小限に抑えることができます。市場の変化に対応するため、定番商品をリニューアルしたり、やむを得ず販売を終了したりすることは、ブランドの成長に不可欠な判断です。しかし、その移行準備が不十分だと、過剰在庫の大きな原因となります。
特に、卸売業者や小売店への事前通告が遅れると、流通の現場では対応が間に合いません。結果として、店頭に残った旧製品が行き場をなくし、メーカーへの大量返品に繋がってしまいます。

これを防ぐためには、販売終了を決定したら、できるだけ早い段階で取引先へ通告し、最終発注の時期やスケジュールを丁寧に共有することが重要です。同時にお客様へも、公式サイトやSNSで「ご愛顧感謝キャンペーン」のような形で告知を行い、代替品を案内するなど、丁寧なフォローを重ねることで、在庫を最小限に抑えることができます。

自社ブランドの化粧品が売れなかった

鳴り物入りで製造・販売した自社ブランド商品も、複合的な理由で計画通りに売れないことがあります。
● 採用した原料のブームが去ってしまった
● 競合商品が増え、品質面での競争力がなかった
● 薬機法の厳格化などで、従来の広告戦略が通用しなくなった
● 販売数量の予測を見誤り、過剰に作りすぎてしまった

企業買収・吸収合併による影響

企業買収や吸収合併の影響で、経営方針や商品ラインナップが変わることがあります。すると今まで通りに在庫が販売できなくなり、過剰在庫となってしまうケースです。買収や合併前に在庫を見直し、商品の再評価を行うことが大切になります。

ブランドイメージを気にして安売りは避けたいのがメーカーの本音ですが、だからこそ在庫の扱いは難しい問題となります。

見過ごせない!過剰在庫が引き起こす問題点

抱えている在庫は、知らず知らずのうちにビジネスにとって様々な問題を引き起こすことがあります。

資金繰りが苦しくなる(キャッシュフローの悪化)

商品として眠っている在庫は、帳簿上は「資産」ですが、現金化されるまでは運転資金として使えません。この”寝ているお金”が多すぎると、日々の支払いや給与、新しい商品開発や広告宣伝といった未来への投資に回すお金が不足してしまいます。

最悪の場合、帳簿上は黒字なのに、支払いに必要な現金が足りずに経営が行き詰まる「黒字倒産」のリスクも高まります。在庫を持つことは、単に商品を保管するだけでなく、貴重な資金を拘束し、ビジネスの成長機会を逃すことにも繋がるのです。

見えないコストが嵩んでしまう(保管料・管理費)

商品を「持っているだけ」でも、目には見えにくいコストが静かに積み重なっていきます。例えば、

● 保管スペースの費用

外部倉庫を借りていれば賃料や管理費が毎月かかります。自社のスペースだとしても、その場所を他の目的(例えば新しいオフィスやショールーム)に使えたはずの機会損失が発生しています。

● 品質を保つための費用

化粧品は温度や湿度にデリケートです。品質を保つための空調費、商品をホコリや害虫から守るための費用、万が一の盗難や火災に備える保険料も必要です。

● 管理するための人件費

在庫を数え、整理し、システムに入力するスタッフの人件費も大きなコストです。定期的な棚卸し作業には多くの時間とリソースが割かれ、その間、スタッフは本来もっと生産的な業務(販売促進や顧客対応など)に時間を使えなくなってしまいます。
これらは一つ一つは小さく見えても、年間で合計すると大きな金額となり、利益を圧迫する要因になります。

商品の価値が下がってしまう(品質の劣化)

化粧品には使用期限があります。時間が経つにつれて品質が劣化し、最悪の場合、販売できなくなり商品価値がゼロになってしまいます。

ブランドの印象を損なう可能性(ブランド価値の低下)

在庫を早く減らしたいからと極端な値下げ販売を繰り返すと、「このブランドはいつも安い」というイメージが定着し、本来の価値が伝わりにくくなる可能性があります。

在庫買取を依頼する5つの大きなメリット

セール販売や寄付など、在庫の対処法はいくつかありますが、特に「まとまった量の在庫を、スムーズに解決したい」場合に心強いのが「買取業者への依頼」です。専門の買取業者に依頼することは、多くのメリットをもたらしてくれます。

メリット1. すぐに現金化でき、キャッシュフローが改善する

最大のメリットは、スピーディーに在庫を現金化できることです。売れ残った在庫を迅速に現金化することで企業の資金繰りを改善し、新たな製品開発やマーケティングといった次の一手に向けた投資に充てることができます。

メリット2.  保管・管理・廃棄のコストと手間から解放される

買取が成立すれば、その瞬間から保管スペースは空き、月々の保管費用や人件費などの管理コストが削減されます。また、商品を廃棄処分する際に発生する廃棄費用も不要となり、コスト削減に大きく貢献します。

メリット3.  ブランドイメージを守りながら販売できる

買取業者は、国内外に独自の販売ルートを持っていることが多く、一概に安売りされるとは限りません。

ブランドイメージを守りたいというメーカー側の希望を伝え、販売ルートを限定してもらうなど、柔軟に対応してくれる場合もあります。どのような形で再販されるのかを事前に相談することで、ブランド価値への影響を抑えながら在庫を整理できる可能性があります。

メリット4.  大量の在庫を一度に処分できる

一点一点商品を梱包して発送する…といった手間は一切かかりません。査定から買取まで、一括で大量の在庫を処理できるため、時間的にも精神的にも負担が大幅に軽減されます。

メリット5.  サステナビリティへ貢献し、企業価値を高める

在庫の買取は、単なるコスト削減や資金繰り改善の手段にとどまりません。商品を廃棄せず、必要とする誰かのもとへ再流通させることは、環境負荷を低減する具体的なアクションです。焼却処分されるはずだった商品が再利用されることで、廃棄物の削減はもちろん、それに伴うCO2排出の抑制にも繋がります。

このような姿勢は、企業の社会的責任(CSR)を果たす上で非常に重要です。環境問題への関心が高い現代の消費者は、サステナブルな取り組みを積極的に行う企業を支持する傾向にあります。在庫の買取を依頼する選択は、企業が環境問題に真摯に向き合っていることを示すメッセージとなり、ブランドイメージの向上や、長期的な企業価値の向上に貢献します。

依頼する前に確認!在庫買取の注意点

実際に買取を依頼する際には、いくつか注意したいポイントがあります。

☑ 化粧品の使用期限(買取の可否を左右する重要項目)

化粧品の使用期限は、未開封で3年が目安です。使用期限が短すぎる商品は買取できない場合もあるため、過剰在庫となってしまったら、なるべく早めに相談することが大切です。

☑ お客様相談センターの受付体制(販売後の責任)

在庫を買い取ってもらった後でも、その商品に対するメーカーとしての製造物責任は続きます。なぜなら、商品パッケージに記載されているのはあなたの会社の名前と連絡先だからです。

買取業者が再販した先で商品を使ったエンドユーザーが、もし肌トラブルなどを起こした場合、連絡するのは買取業者ではなく、パッケージに書かれたメーカーのお客様相談センターなのです。このサポート体制が整っていないと、以下のような深刻な問題に発展する可能性があります。

● 買取業者との信頼関係の崩壊

エンドユーザーからのクレームに対し、メーカーの相談センターが「もう扱っていません」と突き放したり、電話が繋がらなかったりすると、怒りの矛先は買取業者に向かいます。買取業者は対応に追われ、化粧品メーカーなど買取を依頼した会社との取引を「リスクが高い」と判断し、今後の取引を拒否するかもしれません。

● ブランドイメージの大幅な低下

トラブル時に不誠実な対応をされたという経験は、SNSや口コミサイトで拡散されやすいものです。「あの会社は売った後の対応が最悪だ」という評判は、たとえ在庫処分品に関するものであっても、ブランド全体のイメージを大きく損ないます。

● 事業撤退後の予期せぬトラブル

特に「もうこのブランドは終了したから」とサポート体制を完全に閉じてしまうのは危険です。使用期限内の商品が市場に流通している限り、メーカーには利用者への説明責任が伴います。サポートが機能していないと、小さなトラブルが消費者庁などを巻き込む大きな問題に発展しかねません。

買取を依頼するということは、自社の商品が新たなルートで消費者の手に渡るということです。その最後まで責任を持つ姿勢を示すためにも、お客様相談センターの受付体制を万全に整えておくことが、円滑な取引の鍵となります。

在庫買取の事例と今後の展望

すでに多くの化粧品メーカーが、在庫買取を活用して経営の効率化を図っています。例えば、季節限定品やキャンペーン商品など、売れ残りが予想される商品を使用期限が切れる前に買取依頼するケースが増えています。

こうした企業の動きは、商品を「廃棄」せずに「再流通」させる、まさに国が推進する大きな方針を企業レベルで実践している動きと言えます。

まず、環境省は大量生産・大量消費・大量廃棄からの脱却を目指し、「循環経済(サーキュラー・エコノミー)」への移行を国策として推進しています。これは、製品を長く使い、廃棄を前提としないビジネスモデルへの転換を促すもので、過剰在庫の削減はまさにその核心的なテーマの一つです。

そして、この大きな方針を具体化する法律の一つが、2022年4月1日に施行された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(通称:プラスチック資源循環促進法)」です。この法律は、製品の設計から廃棄物の処理に至るまで、プラスチックのライフサイクル全体での資源循環を促すもので、化粧品メーカーには、プラスチック容器を使用する事業者として、環境に配慮した設計がより一層求められるようになりました。具体的には、以下のような取り組みが挙げられます。

容器の軽量化や素材の変更

 例えば、ガラス瓶から軽量な再生PET素材のボトルに変更する、植物由来のバイオマスプラスチックをキャップに採用するなど。

リサイクルしやすい設計(モノマテリアル化)

例えば、ポンプ式の化粧水ボトルで、従来は複数の素材(金属バネなど)が使われていた部分を、すべてリサイクル可能なプラスチック素材に統一する、ラベルをなくして容器に直接印刷するなど。

リフィル(詰め替え)商品の拡充

例えば、ファンデーションのコンパクトケースやリップスティックのホルダーを繰り返し使えるようにし、中身だけを交換できるリフィル商品を積極的に展開するなど。

このように、製品が「ごみ」になることを前提とせず、循環させることを重視する社会的な要請は、過剰に製造して廃棄につながる「過剰在庫」の問題とも密接に関係します。企業は、環境負荷の観点からも、より一層無駄のない生産・販売体制を構築する必要に迫られているのです。

さらに、こうした動きは加速しており、2025年(令和7年)秋頃には、改正資源有効利用促進法の一部である「再資源化事業等高度化法」が本格施行される予定です。

これは、企業が自主的に使用済み製品の回収・再資源化を行うための計画を国に申請し、認定を受けることで、廃棄物処理法に基づく許可がなくても事業を行えるようにする、先進的なリサイクル事業を後押しする法律です。化粧品業界においても、容器の回収・リサイクルスキームを構築する上で、重要な法律となります。

今後は、AIなどを活用した需要予測の精度向上など、テクノロジーによる在庫管理の高度化が進むでしょう。在庫買取という選択肢は、こうした社会全体の大きな流れの中で、企業が今すぐ取り組める現実的かつ効果的な一手として、ますます重要性を増していくと考えられます。

大切な在庫を未来の資産へ変えるために

日本における化粧品の廃棄量について正確な数字は公表されていませんが、膨大な量が廃棄されていると言われています。

廃棄する前に在庫を買取業者に買い取ってもらい、必要とする誰かへ届けることは、化粧品メーカーにとって在庫問題を解決し、経営を効率化するための有効な手段です。そのメリットを最大限に引き出すためには、信頼できるパートナーを選び、適切な準備をすることが重要です。

もし化粧品の過剰在庫や在庫処分でお困りの法人様は、まずはお気軽にアイムライズへご相談ください。